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今から約1年前に公開された、にじさんじ所属の4人組ユニット「VOLTACTION」に密着したドキュメンタリームービーをご存じだろうか。
彼らが“ダンス”という新たな挑戦に向き合い、150日間の試行錯誤を重ねたその姿を追った本映像は、多くのファンの心を打った。
今回は、彼らの努力の記録をあらためて振り返るとともに、彼らの成長や葛藤、絆の深まりをレポートとしてプレイバックする。
本編はこちらから⬇️

2022年7月13日デビュー。寄宿学校でいつもつるんでいた「風楽奏斗」「渡会雲雀」「四季凪アキラ」「セラフ・ダズルガーデン」の4人で結成したユニット。
裏社会を通じて磨いてきた特殊な能力を人々の日常を幸せにするために活かす、という共通の思想のもとで日々暗躍している。
活動の傍ら、人を楽しませる才能が集まる「にじさんじ」の存在を知り、メンバー全員で加入してみることにした。
(PR TIMESより引用)
YouTube : https://www.youtube.com/channel/UCNRh9kkByBTYLo0IJupnAug
X:https://x.com/VOLTACTION_info
ある日、事務所に呼び出された4人に告げられたのは待望のアルバム制作の準備が整い、リアルライブの会場も決定したという朗報だった。
しかし、その直後に突きつけられたのは、思いもよらぬ言葉。
「このままでは出せない。にじさんじNo.1のダンスユニットとしての覚悟を見せてほしい」
4人に課されたのは、5ヶ月間に及ぶ本格的なダンスレッスン。そして、その集大成として待ち受ける“最終審査”への挑戦だった。

プレッシャーと希望、葛藤と決意。
さまざまな思いを胸に、彼らは運命の1日目を迎えることとなった。
挑戦の幕開けとなった1日目。4人が取り組んだのは、まず“ダンスの基礎”を徹底的に見直すことだった。
彼らの前に立ったのは、世界的に活躍するダンサー・gash!。その指導は想像以上に厳しく、容赦のない指摘が飛ぶ。
「どこ動かしてるの!」
そんな中、四季凪は不安を口にした。
「基礎の基礎の段階でこれだから、マジで心配」
その言葉には、プレッシャーと焦り、そして真剣な覚悟がにじんでいた。
迎えた3日目。次に彼らが訪れたのは、ボイストレーニングの現場。指導を担当するのは、育成に定評のあるボイストレーナー・安倉さやか。
それぞれが自分の課題を見つめ直し、改善したいポイントを自ら伝えていく。
中でも、セラフはその歌声を「うまいじゃん」と評価される場面もあった。
しかし本人は、どこか浮かない表情を見せる。他メンバーの歌唱力と比べ、自信を持てずにいるようだった。

週に3回のダンスレッスンに加え、ボイストレーニング、さらには配信活動やオフコラボ。
多忙を極める日々のなかでも、メンバーたちは黙々と努力を重ねていた。
そんな中、風楽は意外な心境を明かす。
「忙しいけど、むしろ元気になった。一つでっかい目標もあるから、メンタルは確実に良くなっている」
“やるべきこと”ではなく、“やりたいこと”として向き合えているからこそ、応援してくれるファン、仲間たち、そして自分自身の期待に応えたい。
その強い思いが、彼らの背中を押し続けていた。
1ヶ月が経過した頃、彼らは早くも最初の試練に直面することとなった。
彼らを待ち受けるのは1ヶ月後に行われるという、これまで取り組んできた“基礎ステップ”のテスト。
全員が合格しなければ、その時点でプロジェクトは即ストップという、極めて厳しい条件が課されていた。
重くのしかかるプレッシャーの中、それぞれが試される瞬間が迫る。

そんな中、もう一度集められた4人に、新たな知らせが届く。
それは、メンバーたちが大切にしているデビュー曲「インレイド」がDance Remixバージョンで制作され、その楽曲が最終審査の課題曲になるというものだった。
さらにカッコよくアレンジされた「インレイド」に、4人のテンションは一気に上がる。
しかしそれを踊るには、目前に迫った基礎ステップのテストに全員合格しなければならない。
4人の気持ちはさらに引き締まっていった。
そして迎えたテストの日。
緊張しながらもテストを受けた4人をgash!はどう評価したのか。
計2回の審査を終え、いよいよ合否が発表される。結果はセラフと風楽のみ合格。
渡会と四季凪は追試が課された。2人に足りなかったのは、踊ることに精一杯になり、見せる・伝えるということに意識が向いてないという点であった。
四季凪は精一杯やりきったものの、思うような結果が出せず、その悔しさから静かに涙をこぼした。
その姿を見たメンバーたちは、すぐに彼のもとへ駆け寄り、言葉にならない想いを受け止める。
gash!もまた、四季凪の心に寄り添いながら声をかけた。
「その悔しい気持ちがあれば、もっと上手くなれる」

その言葉は、努力を続けてきた彼へのエールであり、次へ進むための力強い後押しとなった。
そして四季凪同様、不合格となってしまった渡会はインタビューでこんな言葉を残した。
「風楽とセラフが自分達に合わせたりすることなく、完璧な完成度で踊れるようになりたい。」

そして迎えた、追試の日。
先生とのプライベートレッスンや個人練習を重ねてきた2人は、この日のために地道な努力を積み上げてきた。
その成果は、しっかりと結果に表れる。
ついに、2人は合格を手にしたのだった。
レッスンを少しお休みし、やってきたのは大阪城ホール。
先輩であるROF -MAOの大規模ライブを見学しに来たのであった。

そこで見たのは大きな舞台に立つ先輩4人の姿と会場を埋め尽くすファンの姿。
「あそこに立ちたい」という純粋な憧れが彼らの中で大きくなっていく。
東京に戻りプロジェクトは次の段階へ。
最終審査に向けて練習する振り付けが4人に披露された。難易度の高いダンスに「自分にできるのか」と不安になるメンバーたち。
プロジェクト開始から100日目。ついに「インレイド」の振り入れが始まった。
ダンスに苦手意識のある四季凪は、こんなポジティブな反応を見せていた。
「2~3ヶ月前なら絶対に体に振りが入っていなかった。自分こんなに踊れるようになってるという成長は感じた。」

しかし、現実は甘くない。そう痛感させられる日々が続く。
曲が進むにつれて、振り付けの難易度はさらに上がっていく。テンポの速い楽曲に体が追いつかず、思うように踊れないもどかしさが募る。
さらに、求められるのはダンスだけではない。歌のスキルも磨かなければならず、目の前には次々と課題が立ちはだかる。
その壁の高さに、改めてこの挑戦の厳しさを思い知らされていた。
110日目。1番のおさらいを行うが、移動時に多くのミスが発生。振り付けも雑になっていると厳しい指摘を受ける。

避けたかった現実が目の前に迫り、彼らの胸にさらなるプレッシャーがのしかかる。
ダンスをやっている人でも難しいという今回の振り付け。ダンスをずっとやっていた訳ではない、彼らにとって十分すぎるほどの難易度であるのだ。しかしすでに始まっているプロジェクト。
自分達を信じてくれる先生、スタッフ、そしてファンたちのために。折れかかったVOLTACTIONの心にもう一度火がつく。
長時間の自主練習をこなし、最終審査まで1ヶ月をきった頃。現在の進捗をチェックしにやってきたgash!先生。
「だいぶ形にはなっているものの、もう少し歌うように踊るという意識が必要」という指摘を受けた4人。今のままでは落ちてしまうと、再度言われてしまった。
そして4人が今大事にすべきことは、パフォーマンスを楽しむこと、チームとしての一体感だ。
求められているのはスキルだけではなかったのだ。

歌を楽しむことを意識し、本当の意味での合格を目指す4人だったが、ここで思わぬトラブルが発生する。
自主練習に励んだ結果、風楽と渡会が相次いで足を捻挫。全力で踊れない日々が続き、チームに不安が広がった。
残り2週間となったタイミングで、風楽と渡会は遅れを取り戻すべく、それぞれが自分の足りない部分を徹底的に見つめ直す。
メンバー全員で支え合いながら、少しずつ完成度を高めていった。

四季凪は、自分に足りない部分を一つひとつメモに書き出し、地道に練習を重ねていた。
課題を客観的に見つめ直し、少しでも前に進もうと努力を続ける姿がそこにあった。
一方、それぞれが奮闘する中で、特に強い焦りを感じていたメンバーがいた。
それが、セラフだった。
グループの中でも比較的ダンスを得意としていたセラフは、4人の動きにわずかなズレがあることを敏感に感じ取っていた。
「もっと揃えたい」「もっと良くなれる」
そんな想いから、積極的にメンバーへ改善点を伝え、メンバーを引っ張っていく。
それは決して否定ではなく、全員で同じゴールに向かって進んでいきたいという強い意志の表れだった。行動で示すその真っ直ぐな気持ちは、着実にメンバーの心にも届いていった。
最終審査を目前に控えたある日、彼らの口から語られたのは「楽しい、そして楽しむ」というシンプルでありながらも、本質的な言葉だった。
セラフは笑顔を浮かべながら「このダンス、楽しいっす!」と明るく話し、これまでの苦労を乗り越えた先にある“楽しさ”を素直に表現した。
渡会は、「演者が楽しんでいないと、それは観ている人にも伝わってしまう」と語り、自分たちが舞台の中心に立つアーティストであるという自覚と責任をにじませた。
そして迎えた、最終審査当日。
150日間、苦しみも喜びも分かち合いながら走り抜けた日々。
今、自分たちが持てるすべてを出し切る時がきた。
「死ぬほど緊張してる」
そう語ったのは四季凪。
その声には確かに不安も混じっていたが、それ以上に「やり切る」という強い意志と覚悟が込められていた。
審査のポイントは3つ。果たしてVOLTACTIONの4人はこれらを意識して、合格を掴み取ることができるのだろうか。

緊張で体が思うように動かず、動きが硬くなってしまう4人。
それでも、150日間のすべてをぶつけるように、最後まで全力で踊り切った。
息を切らしながら立つ4人に対し、gash!は「本来のパフォーマンスができていない」と判断した。
そして提案された、まさかの“もう一度”。
これが本当に最後のチャンスだった。
「後悔は未達成のままするもんじゃない」
これは、彼らの課題曲「インレイド」の歌詞の一節。
もっとできたはず。そう後悔しないように。
この瞬間のために重ねてきた努力、そして覚悟を、4人はすべてぶつけた。

パフォーマンスを終えた4人に、gash!はゆっくりと言葉をかけた。
「このプロジェクトが始まってから、途中で厳しいことを言ったり、みんなも悔しい思いをたくさんしたと思う。
だけど、これは“通過点”にすぎない。これからもっと頑張っていくという気持ちを忘れないでほしい。」
そして一瞬の沈黙ののち、gash!の口から告げられた言葉――
「それを踏まえた上で、今回合格です!」
その瞬間、4人の目からは次々と涙があふれた。
何度も壁にぶつかりながら、それでも前に進み続けてきた日々。
苦しさや葛藤、喜びや絆のすべてがこみ上げ、メンバーはお互いを見つめ、ハイタッチを交わし、「お疲れ様」と声を掛け合った。

その姿からは、言葉では言い尽くせないほどの達成感と、喜びがにじみ出ていた。
そしてスタッフからは、ついに待ち望んでいた言葉が伝えられる。
「リアルライブの開催」
「アルバム制作の決定」
夢が、ひとつ現実になった瞬間だった。
こうして最終審査を突破した4人は、次なるステップ、デビュー曲「インレイド」の再レコーディングに向けて、ボイストレーニングへと向かった。
これまでダンスと並行して続けてきたボイスレッスン。その成果を安倉先生に見せる時が来たのだ。
レッスンでは改めて自分たちの課題を確認しながら、細かな表現のブラッシュアップに挑む。
それぞれが感じた「成長」を胸に、丁寧に、そして力強く歌声を重ねていく。
こうして彼らは、新たな「インレイド」を作り上げていった。
けれど、このプロジェクトで得たものは、スキルだけではなかった。
150日間を共に走り抜いたからこそ語れる、仲間への信頼。
支え合いながら一つのゴールを目指し続けた日々は、確かな絆と自信へと変わっていた。
そうして彼らが創り上げた、新しい「インレイド」には、150日間の努力と想い、そして仲間との絆すべてが詰まっていた。
ダンスを通して確かなレベルアップを遂げたVOLTACTION。
この150日間の挑戦は、彼らにとって“通過点”でありながら、確実に“忘れられない原点”となったに違いない。
現在、デビューから3周年を迎え、さらに精力的に活動の幅を広げている4人。
数々のパフォーマンスビデオが公開され、ファンを魅了し続けている今の姿は、あの150日間があったからこそ。
悩み、共に乗り越えた経験は、彼らの表現に深みを与え、パフォーマンスに確かな説得力をもたらした。
その成長の歩みは止まることなく、これからも加速していく。
VOLTACTIONの物語は、まだ始まったばかりだ。