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文:sally
写真:JUNYA “Thirdeye” S-STEADY
Masanori Naruse
Real☆Shot MASATO
ミラーボールの煌めきが宙を舞い、赤・黄・緑のライトがリズムに合わせて会場を染め上げる。
フロアを埋め尽くすのは、レゲエを愛する者たちの高揚とワクワクが入り混じった熱気。
音が鳴る前から、すでに祭りは始まっていた。

2025年9月28日、川崎・CLUB CITTA’にて「渋谷レゲエ祭」が開催された。
今回で17回目を迎える、言わずと知れた国産レゲエの都市型フェスだ。
主催はおなじみSPICY CHOCOLATE。ノンストップでアーティストが登場し続ける、息つく間もないライブパフォーマンスで知られる。
レゲエラヴァーズたちを歓喜させた、豪華アーティストによる“音の饗宴”を、徹底レポートでお届けしよう。
場内のライトがすっと消えると、フロアのあちこちから歓声が漏れた。
「いよいよだ」そんな期待が、熱を帯びて会場に広がっていく。
スクリーンには、渋谷の街、そして今日ステージに立つアーティストたちの姿。
音が鳴りはじめ、ゆっくりとフロアが揺れはじめた。
そして全員で声を合わせたカウントダウン。
“0”の瞬間、タイトルコールが会場に響き渡った。
渋谷レゲエ祭、ついにスタートだ。
ピンクの照明に照らされ、最初にステージに姿を現したのはHAN-KUNとTEE。
1曲目は『ずっとマイラブ』。穏やかであたたかなムードの中、渋谷レゲエ祭がゆるやかにスタートした。

TEE「渋谷レゲエ祭、調子はどうだー!」
HAN-KUN「今年も始まるよ! 楽しめるやつ、手ぇ上げろー!」
そう叫びながら、ふたりはフロアをぐるりと見渡し、自然と笑顔をこぼす。
サビに入ると、観客全員が左右に手を振り、早くも一体感はばっちり。
ゆったりとしたビートに合わせて、会場の空気がひとつになっていった
「渋谷レゲエ祭、みんなめっちゃ元気やんけ!」
大きな歓声を受けてそう叫んだのはCHEHON。
登場早々、代表曲『みどり』を披露すると、会場のテンションは一気に加速。
観客たちはサビで声を合わせ、「みどりー!」と叫びながら、その空間を全力で楽しんでいた。

CHEHONは、曲の合間にアドリブで歌詞を変えたり、その場のノリを拾ったりと、まさにライブならではの空気感でフロアを盛り上げていく。

会場の空気をガラリと変える激しいパフォーマンスを見せたのは、J-REXXX。
登場するなり、「ありがとうございましたー!」と叫びながらステージを横切るという、まさかの展開で観客の笑いを誘う。

その後もアクティブなステージングで盛り上げつつ、
「CYBERJAPAN DANCERSに新加入しました、J-REXXXですー!」
「¥ellow Backsでしたー!」
と立て続けにネタをぶち込み、全力で笑いをかっさらっていった。
自由すぎるキャラと圧のあるライブで、その存在感を存分に見せつけた。

その後、再びステージに登場したJ-REXXX。
今度はCHOPSTICK、そしてサプライズゲストのたなけんと共に、「J.T.Cサマー」を披露した。
パワフルな3人が並んだ瞬間、会場の空気が一気にヒートアップ。
その熱量に圧倒されながらも、観客は思い思いに体を揺らし、全力でステージを楽しんでいた

NATURAL WEAPONやEXPRESS、APOLLOとステージが続いていくなか、本日最初のDJタイムがスタート。
「どんなに忙しくても、彼は毎年来てくれます」
SPICY CHOCOLATEの紹介と共に登場したのは、大阪からの刺客・RED SPIDER。
強烈なマイクパフォーマンスと共に幕を開けた。
「お前ら、いけんのかー!」
「毎年俺おらな、始まらんやろー!」

そんな熱いシャウトと共に、1曲目「Warm up segment」で会場を一気に温める。
体を揺らす観客たちに向けて、次々と曲をドロップ。
APOLLOの「Arriba Arriba」、HAN-KUNの「TONIGHT」など、この日の出演者たちの楽曲を織り交ぜながら、空気をグイグイと引き上げていく。
「今日はストレス、CITTAに置いてけ!」
「現場に勝るもんはないって知ってるやつ、手ぇ上げろー!」

止まらない煽りに、観客も全力で応える。腕を振り上げ、声を上げ、サウンドに没入していく。
RED SPIDERの怒涛のDJプレイに圧倒される中、「あと2曲やで」と本人が告げると、フロアからは名残惜しそうな声が漏れた。
なんと、RED SPIDERはこの20分間のステージのために大阪から駆けつけ、終演後すぐに戻るという。
しかも今は47都道府県ツアーの真っ最中。
「まだチケット残ってんの茨城くらいやけど、来たら人生変わるくらい楽しいから、見に来いやー!」
そう言って再び戻ると、「新・顔面蒼白 (feat. KENTY GROSS, BES, APOLLO & NATURAL WEAPON)」がスタート。
続いてHAN-KUN、KENTY GROSS、SHINGO★西成、CHEHON、NG Headの「緊急事態」。
ラストスパートへと突入し、会場のボルテージは最高潮に達した。
RED SPIDERの全力パフォーマンスに、誰もが声を上げ、腕を振り、音に酔いしれた20分間だった。

第2部の幕開けを飾ったのは、寿君・APOLLO・RAYの3人による「一度きりの」。
「一度きりのlife この声届け 生きた証を残したい」
そんなフレーズを力強く歌いながら、彼らは笑顔を見せつつも、一つひとつの言葉に思いを込めて届けていく。

軽やかなステップの中に、しっかりとしたメッセージ。
楽しさと想いが交差する、印象的なパフォーマンスだった
CHEHON&RAM HEADによる「PISTOL」、続けてRAYの「やってもないのに」と、熱のこもったパフォーマンスが続いていく。
RAYはステージの最後に、10月から始まるワンマンライブツアーの開催を告知。
「最後まで楽しんでいけよ」と語りかけ、この日ラストの登場かと思わせたが、
「…あと3回くらい出るけどな!」
とすぐさまツッコミを入れ、会場は笑いに包まれた。
第2部でひときわ大きな盛り上がりを見せたのは、APOLLOのステージ。
サイレンと共に登場し、披露したのは「APOLLO STYLE」。
冒頭から容赦ない高速ラップをぶちかまし、観客のテンションを一気に引き上げる。
「31周年、もっと早い方がいいよね」
今年31周年を迎えたSPICY CHOCOLATEへ歌うラップのスピードはさらに加速し、そのスキルでフロアを圧倒する。

「SPICY CHOCOLATE 31周年、もっと祝えますか?」
「じゃあ兄貴たち呼ぼうぜ!」
そう言って、KENTY GROSSとNATURAL WEAPONの2人をステージに呼び込み、「ソイヤ節」を披露。
「ソイヤッ! ソイヤッ!」
客席から大きな掛け声が響き渡り、CLUB CITTA’全体がまるで祭りのような一体感に包まれた。

そして、第2部のトリを務めたのはHAN-KUN。
「RAGGAE MAN」から「Burn It Up」へと繋げ、フロアを一気にジャンプさせる。
観客の熱気を浴びながら、HAN-KUNはこう語った。
「やっぱりレゲエが好き。31年って、伊達な数字じゃないよね」
「改めて、SPICY CHOCOLATE間違いなし」
その言葉を残し、HAN-KUNはステージを後にした。
高まった熱を余韻に変えながら、会場には拍手と歓声が響き続けていた。

イベントも中盤戦。そんな中この日の目玉が始まる。
渋谷レゲエ祭 vs 真ADRENALINEのMCバトルだ。
真ADRENALINEは、生バンド演奏をバックに繰り広げられる、唯一無二のスタイルが特徴のMCバトル大会。
実力派ラッパーのACEとHIDEがオーガナイザーを務め、CLUB CITTA’での開催経験もある。
2021年からは「渋谷レゲエ祭」との対決企画もスタートし、毎年熱い戦いが展開。
昨年は、POWER WAVEが勝利を収めた。
今年の戦いは、
①POWER WAVE vs 句潤
②RAY vs MAKA
③CHEHON vs Authority
の3戦。レゲエ VS HIPHOP、果たしてどちらのチームが勝利を勝ち取ったのか。
このコーナーの進行を務めたのは、「真ADRENALINE」オーガナイザーのACEとHIDE。
明るくステージに登場した2人は、そのままテンポよくバトルへと場を導いていった。
第1戦の先攻はPOWER WAVE。
低音ボイスと即興メロディー、多彩なリズム感が光り、観客を飽きさせないスタイルで攻める。
「愛するHIPHOPの3人が渋谷レゲエ祭に来てくれた」
そんなリスペクトにあふれたフレーズで始まったものの、バトルは一転、怒涛のディスり合いへ。

対する句潤は、クリーンで聴き取りやすいフロウが印象的。
確実に“沸かせる”パンチラインを放ち、会場の熱をキープした。
第2戦は、RAY vs MAKA。
リスペクトを込めたグータッチを交わし、バトルがスタート。先攻はRAY。
力強い声でマイクを握ると、レゲエの要素をしっかりと感じさせる独自のフロウを展開。
対するMAKAは、圧倒的な言葉数で攻め込み、ビートのトーンに合わせてテンションを自在にコントロール。

どちらもメロディアスなスタイルながら、相手のフレーズやリズムを巧みに取り入れ、まるで“セッション”のようなやり取りに。
バトルでありながらも、“今日は楽しもうぜ”というメッセージが終始感じられる一戦となった。
最終カードを飾るのは、実力・人気ともに申し分ない CHEHON vs Authority。
登場した瞬間、観客からは「これはヤバい…」とざわめきが漏れる。先攻はCHEHON。
「せっかくのバトルやねんからディスり合わなおもろないよなあ!」
強気なひと言でスタートしたバトルは、開始5秒で“死ね”というワードが飛び出すほど、過激で尖った展開に。
「あんたは俺の中学の青春」
と、CHEHONへのリスペクトを込めたラインを投げかけるも、CHEHONは即座に応酬。

「リスペクトは後でなんぼでもできる。今はここでディスり合おうぜ」
MCバトルの醍醐味を体現するような煽りと、攻撃的なラインで畳みかけていくCHEHON。その姿勢に、フロアはニヤリとした笑いと熱気で包まれる。

「何がしたいの?危ない背後。今日でこいつの生業廃業」
このラインが会場を一気に沸騰させた。今日イチの歓声とどよめきがフロアを包む。

全3戦を終え、判定へ……と思いきや、MCたちの様子がおかしい。
「決められないですよね」
そう繰り返しながら、判定を避けるような流れに。そしてその“意図”が明かされる。
2025年12月28日、渋谷レゲエ祭 vs 真ADRENALINE のライブ開催が決定。
この激戦の決着は、年末のステージへと持ち越されることとなった。
熱狂のMCバトルが終了し、イベントも後半戦へ。
大きな盛り上がりを見せたのは、「田中ANTHEM」を披露した たなけん、J-REXXX、CHOPSTICKの3人だ。
「田中ーーー!」と全力で叫ぶイントロから一気にヒートアップ。
パワフルなステージングとテンションで、観客の心を一気に掴んでいく。

「まだまだいけんだろ渋谷レゲエ祭!!」
たなけんのシャウトに、観客のスクリームが呼応。
田中コールが飛び交い、タオルで縄跳びを始めるなど、自由すぎるパフォーマンスに会場は笑いと驚きの渦に。

ツッコミどころ満載なのに、なぜか完成度が高い。
この3人、もはや天才と言わざるを得ない。
そして最後の個人ステージとなった寿君はキッズダンサーと共に、「あー夏休み」を披露。
「みんなで行くぞー!」
の声とともに、サビは観客とともに大合唱となった。

そしてその勢いのまま、誰もが一度は耳にしたことのあるあのイントロが鳴り響く。
CHEHONの代表曲「韻波句走」だ。観客のシンガロングが止まらない。
「CITTA’ Jump it up!」

その言葉を合図に、フロア全体がジャンプの波に包まれる。
激しいライティング、躍動するダンサーたち、CHEHONの煽り
すべてが重なり合い、圧倒的な熱狂空間が完成する。
「SPICY CHOCOLATEおめでとうございますー!」
そう叫び、観客の大歓声を背にCHEHONはステージを後にした。

「さあSPICY CHOCOLATEいきまっせー!」「サウンドタイム楽しんでって!」
そんな掛け声とともに、オーガナイザー・SPICY CHOCOLATEのステージがスタート。

「SPICY CHOCOLATEの曲を聞きなさい」
コミカルで親しみやすいリリックが詰まった楽曲が続き、会場は一気に笑顔に包まれる。
さらに、SPICY CHOCOLATEの呼びかけで観客はスマホのライトを点灯。
名曲「WON’T BE LONG」に合わせて、光の粒がCLUB CITTA’の空間を優しく照らし出す。

「31周年祝ってくれる人、ライトアップ!」「今日の奇跡もありがとう」
そんな感謝の言葉が投げかけられ、会場全体が温かい空気に包まれていく。
先ほどのRED SPIDERのアグレッシブなスタイルとは対照的に、柔らかく心に響く盛り上げ方。
サウンドタイムの多彩さをあらためて感じさせられるステージとなった。

ラストを飾ったのは、AIの「ハピネス」。
「SPICY CHOCOLATEが笑えば この世界中にもっともっと幸せが広がる」
この特別仕様の歌詞とともに、フロアは優しいオレンジ色の空間へ。
全員が手をかかげ、幸せを分かち合うような笑顔を浮かべる。
そんなあたたかな余韻を残し、SPICY CHOCOLATEのサウンドタイムは幕を下ろした。

最後となる第4部の幕開けを飾ったのは、CYBERJAPAN DANCERSのステージ。
「シリタイ」「Bounce!」「キューティーハニー」の3曲にあわせて、セクシーかつエネルギッシュなダンスを披露し、会場の熱気は一気に最高潮へ。


パフォーマンスの余韻が残る中、SPICY CHOCOLATEの
「皆さん踊る準備できてますか!」という煽りとともに、CHOP STICKが登場。
「SPICY CHOCOLATE31周年おめでとうございますー!」と元気いっぱいに挨拶し、明るくポジティブなエネルギーを振りまく。

そして始まったのは「シャンパンマン対決」。
CYBERJAPAN DANCERSのJUNON & HARACHANチームと、KANAE WATANABE & RIONAチームに分かれ、どちらがより“熱い”シャンパンマンダンスを披露できるかを競う。
「それいけシャンパンマン!」
激しいサウンドに合わせ、全力で踊り切る両チーム。
見事勝利を収めたのは、KANAE WATANABE & RIONAチームだった。

この対決で終わりかと思われたそのとき、CHOP STICKが再びマイクを手にし、会場に向けて力強く語りかける。
「今の日本に大切なのは無関心をなくすことです!」
その言葉をきっかけに、観客全員が一体となってシャンパンマンダンス!
会場の一体感は最高潮に達し、笑顔と歓声が響く中、次のステージへとバトンが渡された。
そして毎年、渋谷レゲエ祭ではmovement dance schoolからオーディションなどで選ばれたLIVEダンサーが出演!寿君の『あー夏休み』はカラフルなアロハシャツを着たKIDSダンサーがステージを彩り、会場のみんなとサビを大合唱!
今年はDOTAMA & KYO虎 / いちげんさんNATURAL WEAPON & RAM HEAD / 大器晩成でもバックダンサーがアーティストと共にパワフルなステージを展開、会場を盛り上げた。

「この歴史あるイベントに、ダンススクールの生徒たちが出演できる機会をいただけることは本当に光栄なことで、毎年みんなが楽しみにしている。レゲエというピースな思想やカルチャーをもっと知ってほしい。」
とmovement dance school代表は語る。
いよいよ渋谷レゲエ祭も終盤へ。
その空気をしっとりと包み込むようにステージに登場したのはTEE。
名曲「ベイビー・アイラブユー」を歌い上げ、その美しい歌声が会場の空気を柔らかく染めていく。
「あなたたちの声でアーティストのライブが最高のものになる。」
その言葉を合図に、観客の大合唱が始まり、感動の波が会場を包み込んだ。

続くステージでは、DOZAN 11が「Lifetime Respect」を披露し、観客の胸を打つ。
さらにHAN-KUNとTEEがタッグを組み、「ずっと」を届けると、ミラーボールの光が優しくフロアを照らし出し、会場はしっとりとした感動のムードに包まれる。
「渋谷レゲエ祭がずっと続きますように」
HAN-KUNのあたたかなメッセージとともに、ステージは一旦の幕を閉じた。

そして本当のラスト。
ステージに再び灯りがともり、出演者全員による「ONE LOVE」でフィナーレがスタート。
最初に登場したのは寿君、RAM HEAD、RAYの3人。

「渋谷レゲエ祭ありがとう!最後に一つになりましょう!」
その呼びかけを皮切りに、個性あふれるアーティストたちがバトンを繋ぎ、想いのこもった歌声とパフォーマンスで、今日最後のレゲエを会場いっぱいに響かせる。
「One love, one heart Let’s get together and feel all right」
全員で歌い上げるこの名フレーズが、まさに渋谷レゲエ祭のテーマそのものを体現する。
“みんなで一つに”。そして“レゲエでつながる心”。
その想いを、観客も出演者も自然と共有していた。

「ありがとうございました!」
最後に、SPICY CHOCOLATEが感謝の言葉を贈る。
終演後には子供たちからSPICY CHOCOLATEへ感謝の寄せ書きをした金メダルを贈る
など愛にあふれるシーンが印象的だった。

来年も「渋谷レゲエ祭」がみんなへ愛と感動を伝えてくれるだろう。
4時間半にわたる「渋谷レゲエ祭 2025」は大盛況のうちに幕を閉じた。

渋谷レゲエ祭 vs 真adrenaline
日時:2025年12月28日
OPEN 14:00 START 15:00
会場:渋谷WOMB
FASTPASS ¥7,980
STANDING ¥6,980
【SPICY CHOCOLATE SNS】
公式HP:https://spicychocolate.net/
X:https://x.com/SpicyChocolate_
Instagram:https://www.instagram.com/spicy_chocolate23/
【渋谷レゲエ祭 SNS】
公式HP:https://shibuyareggaesai.com/2025/
X:https://x.com/shibuyareggaesa
【真ADRENALINE SNS】
X:https://x.com/ADRENALINE_INFO
Instagram:https://www.instagram.com/shin.adrenaline/