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ヒューマンビートボックス、津軽三味線、ストリートダンス。異なる3つのカルチャーを融合させ、唯一無二の表現へと昇華するパフォーマンスチーム・SOME≡LINEZ(サムライン)。
SNS総フォロワーは約70万人を誇り、国内外から熱い視線を浴びる彼らは、いかにしてそのスタイルを確立したのか。本インタビューでは、その原点と未来に迫る。
インタビュー・文:大津沙莉
ーー現在は具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
TATSUYA 主にSNSでパフォーマンスの発信をしていて、ターゲットは海外の方が中心になっています。日本で開催される世界大会であったり、海外イベントのレセプションパーティでパフォーマンスをさせていただく機会も多くあります。
ーーSOME≡LINEZで実現したいことはどんなことですか?
FLAVA それぞれがそれぞれの業界で戦いながら、日本だけでなく海外でも活動してきました。その中で感じるのは、日本には素晴らしいカルチャーや表現がある一方で、それを海外へ強く発信し、世界的に認められていく流れは、まだこれからもっと広げていける余地があるということです。だからこそ僕ら自身も、さらに海外へ挑戦し、日本発の表現として世界に認められる存在を目指していきたいと思っています。
TATSUYA 僕はあまり長期的にグループ活動をしない派なんですよ。というか、“ある程度の期間の中でどれだけの成果を上げるか”みたいなものが僕のスタイルです。海外の方が求めている日本のイメージと日本から発信しようとするイメージって、実は結構な差があります。ビートボックスの世界はかなりグローバルスタンダードで、世界が何を求めているか常に考えていないと戦えない業界だったので、それをSOME≡LINEZという形で日本のパフォーマーって、“こういう形が1番映えるよね”っていうのをようやく証明できたかなと思っています。最終的に日本のものを世界に発信する、接続役的な人になれたらいいなと思います。
柴田雅人 チームとしての目標は、やっぱり日本で生み出したこの新しい融合を、世界の1人でも多くの人に届けたいというのが大きな目標です。僕自身としては、やはりこの三味線という楽器が、どんどん有名になってもらいたい。世界で日本の民族楽器だという認知をどんどん広げていきたいという強い思いがあるので、このSOME≡LINEZというチームがそれを知ってもらえる場になっているというのはすごく嬉しいです。あとは日本という国は素晴らしくて、かっこいい国だということを知ってもらいたいですね。

ーーSOME≡LINEZというチーム名はどのようにつけられたのでしょうか?
TATSUYA これはもう僕が天才すぎましたね(笑)。最初はみんなでいろいろ考えていたんですけど、2人ともネーミングセンスが無さすぎて……。
柴田雅人 面白いのはたくさん出しました(笑)。
TATSUYA まず“侍”っていう単語は入れたかったです。あと、それぞれやってきたジャンルが違うので、いくつかの線(some line)と侍(SAMURAI)をかけて、SOME≡LINEZになりました。あと真ん中に3本線(≡)が入っているんですけど、あれは“合同”っていう意味があります。数学的に“いくつかのものを束ねていく”っていう意味があって、この3個のジャンルが1つに合わさるという僕らにぴったりな表記だったので使いました。Zは見栄えが良かったので付けました(笑)。

ーーかなり異色のパフォーマンススタイルだと思うのですが、このスタイルを確立するまでに多くの苦労があったのでは?
TATSUYA 我々(ビートボックスと津軽三味線)のようなミュージシャンとしてのパフォーマンスとダンスのパフォーマンスって、似ているようで実はちょっと違うんです。SNSでかっこいいパフォーマンスを見せるためにまとめることはできるのですが、ライブになると急にうまくいかなかったりして。そこの調整は難しいなと個人的には思います。

ーー異色な3ジャンルの融合ということですが、制作をする上で大変なことはありますか?
柴田雅人 イメージが難しいかもしれないのですが、我々が作る楽曲は基本的に譜面が必要ないので、全ての楽曲が頭に入っている状態です。なので曲が多くなっていけばいくほど、どれがどの曲かわからなくなっていってしまうのは、少し大変な点かもしれません。TATSUYAはどう?
TATSUYA 良い面と悪い面があって、HIPHOPのような洋物の音楽に三味線の要素を当てはめていくっていうのは、結構事例がないことですよね。そのバランスが大変です。三味線の良さを見せつつ、世界の人が聴いて伝わりやすい音楽を作るというのは少し難しいラインだなと思っています。
柴田雅人 HIPHOPの楽曲の方向性のなかに、自分の三味線を落とし込んだ時、三味線らしくない部分に関しては意見をよく言います。もちろん無理をした方(三味線らしさを減らした方)がかっこよくなる部分に関しては、互いにラインを攻め合っていますね。もはや三味線ではなくなってしまう部分は譲らなかったり。
僕は僕なりの柔軟さで(HIPHOPの要素を)取り入れて、昇華して、三味線の音として表現する。それを日本で1番カッコよくできるのは僕だと自信を持って言えます。
ーーFLAVAさんは普段と異なるテイストの楽曲に対する振り付けで大変なことはありませんか?
FLAVA ありますね。僕は“伝わる表現”を大事にしていて、動きのラインや余白まで意識しています。そうすることで、三味線やビートボックスの音と身体表現が噛み合っていく感覚があるんです。特にSOME≡LINEZでは、ただ踊るだけじゃなく、“世界観”をすごく大切にしています。なので、バトルの感覚のまま踊るというより、音・ビジュアル・空気感まで含めて、どう魅せるかはかなり試行錯誤しました。でもその感覚が、今のSOME≡LINEZらしいスタイルになっていると思います。
ーー慣れるまでは少し大変だったんですね。
FLAVA そうですね。今も振付を固めているわけではなくて、基本的にはフリースタイルで、その場の即興で踊ることが多いです。ただ最初は、その即興が生音とうまく噛み合わなかった。生音って毎回微妙に表情や間が変わるので、実はすごく難しいんです。でも回数を重ねる中で、音との呼吸感や空気感が少しずつ身体に入ってきて、今のSOME≡LINEZらしいスタイルが出来上がってきている感覚がありますね。

ーーヒューマンビートボックスという“声が楽器になる”表現と、津軽三味線という“弦の音”の間に、化学反応を感じた瞬間はありましたか?
TATSUYA 何個かあるんですけど1つはビートボックス自体が日本のカルチャーではないので、世界大会とかでは日本人としての表現を求められていたなとすごく感じていました。世界大会で偶然雅人と出会っていて、これ面白いなっていう感覚は最初からあったんですけど、津軽三味線のことをよく知らなくて、いろんな情報をもらって勉強させていただきました。その中でちょっと驚いたのは、(津軽三味線には)結構打楽器的な要素があるんですよ。リズムが感じられるというか。三味線だけでもすごくリズミカルな演奏音が聞こえてきて、そのリズムとビートボックスのリズムがすごくマッチングするなというところはあります。あと、ビートボックスは低音が出せるので、三味線が出せない音域をサポートできるという意味でもマッチ度がかなりあったんじゃないかと思います。
ーー三味線を演奏する上でリズムはかなり意識されているのでしょうか?
柴田雅人 僕が演奏している津軽三味線は、三味線の音楽の中でも最も力強く、三味線の胴の部分をバチで叩きつけて、前後にバチを動かすことでリズムを生み出すっていう。リズム生み出すためには、右手が命なんですよね。そのしっかりとしたリズムの土台がある上で、左手で色をつけるというイメージです。とても大事なのは右手をぶらさないこと。その三味線のリズムとビートボックスを初めてスタジオで合わせたとき、“うわ、気持ちいい”ってなりました。

ーーではFLAVAさんにもお聞きしたいのですが、フリースタイルで踊る際、三味線とビートボックス、どちらの音を取ることが多いですか?
FLAVA 撮影の時は録音した音源をスピーカーで流しているので、実は三味線の方が強く聞こえてしまうんですよね。現場で音響がいい時はバッチリ聞こえるので使い分けができて、気持ちよく音にはめられます。
ーー撮影の時は割と三味線の音を聞いていらっしゃるんですね。
FLAVA 新しく作った楽曲だとあまり音が体に入っていなかったりするので、その時はもう勘ですね(笑)。ライブの時は基本的には聞き分けて、目立つ音に合わせて、動きを取りに行きます。今は音よりも視覚的なものに対して苦労することが多いです。どうしてもダンサー1人と音楽2人というのは難しくて。ダンサー1人だけだと、小さい動きでも映える時があるのですが、3人でパフォーマンスする時はそれが使えない時も多いので。やっぱり全員が主役っていうのがうちのチームなので、そこでどういった見せ方をしていくかっていうところが、僕が苦労しながら考えている点ではあります。
ーー海外でも活動されているとのことでしたが、海外の方はこの異色の融合をどのように評価しているのでしょうか?
FLAVA 僕のイメージでは、すごく褒めてくれるコメントが多いですね。いろいろなアーティストやダンサーを見ていると、否定的なコメントも結構多いです。それが普通だと思うんですけど、僕たちの動画のコメントには少ないです。たまに日本人の方から、和装がいいなとかは言われますけど(笑)。

ーー海外の方からネガティブなコメントを残されることはほぼないんですね。
FLAVA ほぼないですね。以前お話ししたように、海外のレジェンドラッパーや日本の有名アーティストの方々が僕らをフォローしてくれたり、取り上げてくださることも増えていて。例えば、Method Man が僕らの動画を「日本に新しいヒップホップの風が吹いている」というコメントと共に何度もシェアしてくれたり、ブロンクスにある THE HIPHOP MUSEUM に展示していただけることになったり。他にもたくさんあるんですけど。そういう形で、自分たちの表現が本場のカルチャーにも届いているというのは、一つの説得力になっているのかなと思います。
ーーチームで活動される時と個人で活動される時の1番大きな違いはなんですか?
柴田雅人 衣装ですね(笑)。普段は袴を着て人前で演奏するのがスタンダードだったのですが、このチームではマスクもしなきゃいけないので、すごく呼吸がしにくい……。
ーービートボックスはもう不可能ですよね?
TATSUYA 無理ですね(笑)。
柴田雅人 ライブではマスクを外した状態でやっているんですけど、マスクはキャッチーさを作る上で重要です。かっこいいと思って目を止めてもらわなきゃ意味がありません。三味線奏者としてここまで攻めた格好でやっている人は今までいなかったので、バズらなければいい年したコスプレ集団になるところでした(笑)。
ーー顔を隠した理由は何でしたか?
柴田雅人 僕たちはそれぞれの業界でチャンピオンを取ったことがあるのですが、自分たちが作り上げたこの世界観って、自分たちの名前と関係なく広めることはできるのかなって思ったんです。なので最初は正体を隠して活動をスタートさせました。それが世界中で拡散されて、数字がついてきた頃に、僕たちがやっていると公開して、より拡散力を広げました。生み出したものは自分たちの名前と関係なく、世界に通用するんだなって分かって自信を持ってスタートすることができましたね。
SOME≡LINEZとしての活動においては、僕が1番大事にしているので仲の良さですね。裏でギクシャクすると絶対にパフォーマンスに出ると思っているので、可能な限り早く顔を突き合わせて問題を解決するっていうことが大事だなというふうに考えています。これは個人とチームの大きな違いですね。
TATSUYA 一概にこのチームを組んだからっていうわけではないかもしれないのですが、今雅人が言ったみたいにグループとしてよくなることを考えるのは個人ではありえないことですね。ただの仲良い友達だけじゃやっていけないところっていうのも、(チームのことを)考える上で変わったかもしれないです。
FLAVA 変わったところは、ダンスってどちらかというと楽曲を彩る要素の1つです。バトルシーンとかは別ですが、ダンサーは基本依頼を受けて振付を作ったり、バックダンサーであったりするものです。でもSOME≡LINEZでは3人で前に出るので、そこは僕の中で大きな違いですね。逆に元々やりたかったことに挑戦できているなと感じています。もともとダンスを始めるきっかけって大体楽しいとかもあるんですけど、目立ちたいっていうのは絶対どの人もあると思うんですよね。でもそれがいざ仕事となると、あまりないんですよ。そういう時に今やれてることって、自分もチーム全体でも前に出るっていうところに挑戦できてるので、僕の中ではすごくプロ意識が大きく変わったところかなと思います。

ーー最後に今後の展望や目標を教えてください。
TATSUYA 僕の中では、やっぱりまだSNS上でのパフォーマーでしかないなと思っています。僕らの動画はインパクトもあるし、すごく評価していただいているんですけど、ライブがめちゃくちゃ良いんですよ。なので結構企業の方に読んでいただいたり、リピートしていただくことも増えています。
“ライブと映像じゃ全く違うね”“やっぱり生で見るとすごいね”と言っていただけることが多いので、日本だけでなく世界でも生でパフォーマンスを届ける機会を増やせていけたらなと思っています。
柴田雅人 ライブでは海外の方の直接的な反応を肌で感じられると思います。それを通じて、足りないものや逆に自信を持っていい部分がはっきりして、もう一段階レベルアップできるのではないかと。その先に、さらにやりたいことも見えてくるはずです。
今3人が思い描いているもののが実現されていっているそのスピード感って、少し遅いと思うんですよね。やっぱりいろいろな壁があって、思うように進まないことが多いです。環境的にもどんどん大人になっていくので、しんどいと感じることもあると思うんですけど、3人が3人とも全力でやれていると思えるタイミングが重なった時に、今の何倍もの力を我々は発揮することができると思うんです。そのパワーを見てみたいですね。
FLAVA パフォーマンスでは僕が真ん中に立つことが多いですが、結局は3人のバランスや空気感でSOME≡LINEZは成立していると思っています。だからこそ、一人が引っ張るというより、お互いの強みや感覚を支え合いながら、この世界観やクオリティを作り続けていきたい。その上で、この信念や表現は曲げずに、もっと世界中に届く存在になりたいですね。3人だからこそ生まれる表現を、もっと世界へ発信していきたいと思っています。俺らのパフォーマンス、こんなにかっこいいんだぞと!!

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