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東京都江戸川区出身のラッパー、RUNE999(ルネ)。
芸能界への登竜門となる某国民的ボーイズコンテストでファイナリストに選ばれ、ファッションモデルや俳優として活躍していたという過去を持ち、叔母が元モーニング娘。の後藤真希であることなど、シーンにおいても異色の存在ながら、今年の2月にリリースした1stアルバム『江戸川』は iTunes HIPHOPアルバムチャート1位を獲得し、ラッパーとしての地位を着実に確立しはじめている。
また、9月に配信リリースした楽曲「HAPPY」は、強烈なシンセサイザーが響くトラップビートに乗せたメロディアスなフローと、レコーディング時の状況や感情をそのまま詰め込んだというリリックが爽快で、激しくエネルギッシュなアウトロも非常に印象的な一曲となっており、数多くのプレイリストに選ばれ再生数を伸ばし続けている。
そんな楽曲「HAPPY」の制作過程や、自身のバックグラウンド、そして今後の展望などの話を伺った。
RUNE999「HAPPY」
配信リンク:https://rune999.bfan.link/HAPPY
ー「HAPPY」という楽曲に込めたテーマは?
RUNE999: 普段はテーマを先に決めてから曲を作ることも多いのですが、「HAPPY」はテーマなど何も決めずにフリースタイルで作っていった曲なので、レコーディングしている時の状況や感情をそのまんま全部詰め込んだ曲です。
ーレコーディング時はどのような状況だったのですか?
RUNE999:自分らのクルー”River Side House”のスタジオで曲を録っていたんですが、その日が凄く調子が良くて、1日で8曲くらい出来る勢いだったんですよ。
いつもならリリックとかを考えるようなところも、ポンポン出てきたりして。
そんな感じで1日中曲を作り続け、明け方3時頃に「あと1時間ぐらいしか無いし、そろそろ帰ろうか」となったんですけど「いや、このペースならラストもう1曲いけるんじゃないか」と、最後の8曲目に録ったのが「HAPPY」です。
自分としても、曲が一気に出来た日でもあるからテンションも高くて、本当にリリックにある通り「とにかく今が一番楽しい!」というような感情で溢れていました。
ー「HAPPY」の制作はどのように行いましたか?
RUNE999:まずトラック選びからスタートしたのですが、色々と聞いていく中で「HAPPY」のトラックが流れると凄いバキバキで、直感で「コレだな」と思いました。
一番勢いがあって強いと感じた「HAPPY」のトラックを繰り返し流しっぱなしにしながら、フリースタイルでラップして一気に短時間で完成させました。
明け方に爆音で「HAPPY」のトラックを流していたので、さすがに近所の人に申し訳ないなと思って、近所の人にごめんなさいみたいなことを言っていたり、着てる服や自分が身につけている物だったり、部屋がイケてるとか、もうその時の状況や思った感情がそのままリリックになっています。
このような流れで生まれた曲だったので、最終的に曲のデータを保存する時に「この曲のタイトルは何にしようか」と考えたんですけど「HAPPYじゃない?とりあえず今、HAPPYでしょ」ということでタイトルが決まりました(笑)
ー音楽的に新しい試みをした部分や、特にこだわった部分は?
RUNE999:いつもは曲に入れるガヤ(バックコーラス)も結構作り込んでいくのですが、今回はあまり修正せず、自分がリスナーとして曲聴いた時に盛り上がって自然と出ちゃう言葉というのをイメージして、はぼ全部一発か二発撮りみたいな感じで仕上げました。
サウンド的には、特にアウトロにこだわりました。
曲の中でアウトロを一番激しくしたら印象的だし、面白いんじゃないかという試みだったんですが、僕の楽しんでいる脳味噌の中を音で表現しているような音源になりました。
ー楽曲を聴くシチュエーションなどは想定したりしていますか?
RUNE999:曲を録った後は、自分が一番いいと思う音の状態が最も分かるので、車で聴くようにしています。
シチュエーションを限定して制作しているわけではないですが、車など密室感がある方がアガれそうかな思っています。
リリース後、InstagramなどのSNSを通じてファンやリスナーの方からメンションが届くんですけど、8割ぐらいが車の中で聞いてくれている動画や画像へのタグ付けをしてしてくれていました。
たしかに自分らと同じような感覚で、音楽が好きな子達だったら、多分同じようなものが好きになるよなぁ、と思ってその反響が嬉しかったですね。
ー普段の制作はどのように進めていますか?
RUNE999:曲を作る流れは、トラック先行のパターンと、テーマを先に決めて作りはじめるパターンの2パターンがあります。
色々とトラックを聞いて、このトラックかっこいいと気に入ってから作り始めるパターン。
テーマを先に決めて作りはじめるパターンでは、その時の感情をテーマにしたり、普段の生活で思ったことなどをメモしているのでそこから選んだりしています。
僕の作品は、テーマがそのままタイトルになっていることが多いんですよ。
ー楽曲「HAPPY」の制作を経て、自分が感じた変化とか新しい発見などはありましたか?
RUNE999:今回フリースタイルで録ったことで、突発的に出た単語や考えすぎてない言葉も自然体で良かったし、フローも勢いがあって自分的にも気に入ったので、最近の制作に関してもあえて何回かフリースタイルで録ったりしています。そこで出た良いワードを選んでテーマにしたりとかもするようになりました。
ーアーティスト名の由来は?
RUNE999:楽曲も完成しリリースを控えているというのに、アーティスト名がなかなか決まらずに悩んでいた時期に、日高くん(*SKY-HI)に相談したら、ちょっと考えていきなり「RUNEだね」と言われたんです。
僕の本名は「玲旺(れお)」で「ジャングル大帝」のレオが由来なのですが、「ルネ」というのは「ジャングル大帝」のレオの息子の名前で、次のキングになる存在。
僕の本名の由来は特に言っていなかったんですが、僕の本名の由来と日高くんが考えてくれた名前の由来が全く同じだったんで、運命めいたものを感じました。
日高くんが「このHIPHOPのシーンでキングになれるように」と考えてくれた名前なので凄い気に入って、そこにさらに自分らしさを出すために、大切にしている「9」という数字を加えることにしました。
誕生日の数字を足すと9になったり、普段の生活でも9になにかと縁があって、僕は昔から「9」という数字が好きだったんです。
数字の「6」は悪魔の数字とされることが多いですが、6を逆さにすると9になるように、物事には見る角度によって異なる解釈があるという考え方も込めています。
僕が好きなアーティストが「9」を使っていることもあり、最終的に「9」を3つつけることにしました。
Juice WRLDが来日していた時に、たまたま彼と少しだけ話すことが出来て、自分の名前について話したらすごく共感してくれて、「アメリカでは俺が9を広めるから、日本ではお前が頑張って広めてくれ」と言ってくれたんです。
さらに自分にとって「9」が大切な意味を持つようになった瞬間でしたね。
残念ながら彼はその後亡くなってしまって、さらに「RUNE999」としての活動に使命感を感じました。
ー音楽活動を始めたきっかけは?
RUNE999:僕は小学生の頃の夢が「仮面ライダーとラッパーになりたい」で、中学校に進んでも同じ夢を持ち続け、作文もステージに立ってライブをしている自分を想像して書いていました。
そんな中、進路について家族と話し合った時に、ラッパーからは仮面ライダーになれないけど、仮面ライダーからラッパーにはなれる可能性があるのではないかという結論に至り、まずは仮面ライダーに出演できる可能性のあるジュノン・スーパーボーイ・コンテストに参加することにしました。
このコンテストに挑戦するのが一番近いルートだと思ったんです。
その結果として、俳優の道に進むことになり、仮面ライダー作品へ出演することができました。
この時点で、俳優としての目標は達成したと感じ、次のドラマや映画の話もありましたが、そこでもう十分だなと思って俳優業をやめる決断をしました。
その後、しばらくは働かずに遊び回っていたんですが、クラブで音楽を聴いたりしているうちに、ヒップホップの魅力を再認識しました。
ヒップホップは昔から好きだったので、「第二のキャリアを本格的にスタートさせよう」と決意し、本格的に音楽活動を始めました。
ーラッパーになるために一番最初にしたことは何ですか?
RUNE999:一番最初は、友達と一緒にYouTubeにあるフリートラックを流しながらバトルして遊んでました。
今のクルーのメンバーもいれば、全然クルーのメンバーじゃない、ただ普段遊んでる友達ともやってましたね。
ー自身の音楽スタイルや特徴はなんですか?
RUNE999:出来るだけ自分が普段言わない言葉は使わないようにしています。
もちろん作品として、聴いている人が分かりやすいように言い換えたり、ちょっとアレンジする部分は多少合っても、基本的に自分が使わない言葉は言わないようにかなり意識していますね。
素直な気持ちのまんまというか、自分らしさというか、そこは結構大事にしています。
ーインスピレーションを受けたアーティストは?
RUNE999:海外のアーティストだとJustin BieberとJuice WRLDが大きな影響を与えてくれました。
日本のアーティストだと、KREVAさんとZORNさんの2人が昔から大好きで、日本語ラップにハマるきっかけでした。
中学生の時って、放送委員になるとお昼の放送で好きな音楽を流せるみたいなのってあったじゃないですか。
自分が好きなイケてる曲を流すために放送委員になって、KREVAさんとかZORNさんとかMACCHOさんの曲を学校の放送で流してました。
でも、ある時ZORNさんのリリックがちょっと過激だったのか、学校で流すには不適切だと言われて、オルゴールやピアノしか流せないことになってしまったんですよ。
それで腹が立って、次のお昼の放送でANARCHYさんの曲を爆音で流して、そのまま走って逃げました(笑)。
でも校内放送がきっかけで友達も「この曲何?」って興味を持ち始めて、みんなで日本語ラップとかを聴くようになったんです。それでさらにハマっていきましたね。
ー他にも音楽的に影響を受けたジャンルやカルチャーはありますか?
RUNE999:カルチャー的にはもちろんHIPHOPもラップも大好きなんですけど、実はバンドも結構好きで、Dragon AshとかJESSEさんとかをよく聴いていました。
音楽好きな祖母の影響で、R&Bとかバンドとか色々な音楽に触れていて、YouTubeでミュージックビデオを見たりしているうちに、ロックの世界に引き込まれました。
友達と一緒にリサイクルショップでギターを買って、そこから1、2年くらいはギターばっかり弾いていた時期もあります。
ー「2007 BOY」はNE-YO本人から正式にサンプリング許可を貰ったとありますが、どのように実現したのですか?
RUNE999:この曲のテーマが、自分が音楽を好きになり始めた頃の思い出なんです。それこそ祖母の持っていたCDを聴いていた思い出とか。
それでタイトルを2007にして、ジャンルとしてはドリルにして、聴いていた曲もサンプリングしたいなって思って、許可も取らず使っちゃってたんですよ、当時は著作権とかよく分からなかったんで(笑)
後から「これ出したら怒られるかな」と悩んだんですが、リリース前にインスタのDMでNE-YOに「これ使わせてもらったんで、問題があれば教えてください」みたいな感じで連絡を入れたんです。
もしダメなら消すつもりで待ってたんですけど、返信をくれて「全然使っていいよ、クレジットも書いて大丈夫だよ。俺もこっちで宣伝するよ」くらいのことまで言ってくれて。
「こんなにフランクな対応をしてくれるんだ」ってびっくりしましたね。
それで、正式にリリースしてMVも出しました。
ー江戸川区を拠点としたクルー「River Side House」とはどのようなクルーですか?
RUNE999:River Side Houseは、僕らの地元である東京の川沿いが拠点になっているので、その地元のエリアから名前をとりました。
皆住んでいるのが川沿いの家ばかりで、自然とRiver Side Houseという名前になったんです。
最初はEddy Armadaと二人で音楽をやろうとしていたんですけど、音楽をやっていた友達や後輩たちも「俺もリリースしたい」というメンバーが増えていきました。
普通に会社員として働いている地元の友達もいる、そういう感じでRiver Side Houseというクルーが出来ていきました。
東京都江戸川区で生まれ育ったRUNE999は2021年2月にRapper「RUNE999(ルネ)」としてアーティストデビュー。
Single「MyWorld feat.Ry-lax Prod. Lil’Yukichi」をリリースし、iTunes Storeヒップホップトップソング46位にチャートイン。
2022年にはNE-YO本人から正式にサンプリング許可の降りた「2007 BOY」をリリース。
江戸川区を拠点としたクルー「River Side House」のCEOでもあり2024年2月に1st アルバム「江戸川」をリリースし、 iTunes HIPHOPアルバムチャート1位を獲得。
個人的な経験や感情が反映された真っ直ぐなリリックとメロディアスなフロー、鮮烈なビジュアルで、多方面から関心を集めている。
今後の RUNE999の動きにシーンが注目し始めていると共に、新たな幕開けに期待が集まる。
X:https://x.com/rune999
Instagram:https://www.instagram.com/rune999
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